★★今場所の見どころ★★


先場所は白鵬の史上最多勝記録の更新なるかに注目が集まったが、第一人者が記録を塗り替えて連覇するお決まりのシナリオで幕を閉じた。

ただ、秋場所の優勝争いはかなりの混戦が予想される。というのも、本来優勝戦線を引っ張るべき4横綱がそれぞれ負傷を抱えており、何人出場できるのかという見通しすら立っていないからだ。

まず白鵬はここ2場所連覇こそしてはいるが、左ひざの故障を訴えて夏巡業を一時離脱したとのこと。ケガの具合は「稽古をすると痛む」という状態で、まともに稽古ができたという話は伝わってきていない。

2場所連続途中休場の稀勢の里は左上腕のケガに加えて、先場所の相撲で左足首を痛めた。これは不運というよりも、まだ横綱として満足な相撲が取れる状態でないのに出場に踏み切った悪循環によるものだろう。

この場所前は新十両の矢後を捕まえて稽古をしていたらしい。全勝はしたようだが、左からのおっつけは繰り出せておらず、まだ完治したとは言い難い。横審をはじめ周囲は「休場もやむなし」という見方が圧倒的だ。最終的な結論は横綱自身が降すだろうが、くれぐれも将来を見据えた決断をしてもらいたい。

同じく2場所連続途中休場の鶴竜は、稀勢の里とは別の意味で窮地に立たされている。稀勢の里の場合は左上腕の負傷は完全なアクシデントだが、鶴竜の場合は今年に入ってから3場所も途中休場するなど、一言で言えば”衰え”を感じる土俵が続いている。

先場所痛めた右足は横綱曰く「6,7割の状態」とのこと。師匠の井筒親方が「次の出場で進退を懸ける」と公言したことから、満足に相撲が取れるまで休場を続ける可能性もある。当面は体調の回復を優先させるべきだろう。

横綱の中で唯一初日から出場できそうな日馬富士も左ひじに故障を抱えている。名古屋場所後に手術するという話もあったが、「1年かかる」と言われて断念したという。

ただ、この横綱は体調よりも気力で相撲を取っている印象がある。横審総見の時も4人の横綱の中でただ一人相撲を取り、御嶽海らを相手に9戦全勝。他の横綱の状況から考えても、日馬富士が奮起をしてくることは大いにあり得る。賜杯から1年以上遠ざかっているが、今場所は絶好のチャンスと考えているだろう。ここは期待も込めて優勝候補の本命と見たい。

対抗馬は大関2場所目となるだろう。新大関の先場所は終盤の失速もあり9勝に留まったが、様々な昇進行事による精神的な疲労もあったのだろう。何よりも横綱・大関の中では体調面で一番不安がない。本来の地力が発揮できれば、安定して2ケタ勝つだけの地力はある。大関の水に慣れてきた今場所は初優勝も期待したいところだ。

カド番の豪栄道、照ノ富士は心配されたが、場所前の状態はいずれも好調らしい。

ただ豪栄道はどちらかと言うと稽古場横綱の嫌いがあり、下馬評を鵜呑みにできないところがある。昨年の秋場所では同じ状況で初優勝を全勝で飾ったが、目指すはその再現だろう。

照ノ富士は全治7週間ということで秋場所に間に合うか懸念されたが、若いだけに治りも早い。ただ、もともと取り口に無理がないタイプ。せっかくケガが治ったのだから、もう少し基本に忠実な相撲で白星を伸ばしてもらいたい。

今場所は関脇以下でも優勝のチャンスがありそうだが、期待は関脇2場所目の御嶽海と昭和以降最高齢の35歳5ヶ月での関脇昇進となった嘉風。

御嶽海はここ2場所で4横綱全員から星を挙げている。稽古場ではいわゆる”死んだふり”をしているそうだが、本番に強いタイプだけにそろそろ三役で初の2ケタ勝利を期待したい。

嘉風の上位キラーぶりは今更言う必要がないくらいだが、本人のコメントからは自信さえ窺い知れる。この力士は大きなことを言っても、それ相応の結果を出すところがある。やるべきことをやっているからだろうが、本人の言う「史上最年長大関昇進」へ大事な場所だ。

新入幕から連続2ケタ勝利で今場所が横綱・大関初挑戦の阿武咲にも注目だ。基本は押し相撲だが、四つでもそれなりに取れる上に迷いのないところが素晴らしい。夏巡業中は安と連日三番稽古を行ない、大関を圧倒していたと聞く。思い切った相撲で場所を盛り上げて欲しい。

その他、先場所に続く上位挑戦となる北勝富士や新入幕の朝乃山にも注目が集まるこの秋場所。全く予想のつかない乱戦場所は果たしてどのように展開していくのだろうか?


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