SHIN様の全幕内力士寸評

(平成29年九州場所前)


東横綱 日馬富士 公平 モンゴル出身 伊勢ヶ濱部屋

初めて一人横綱として15日間務めた先場所は、序盤戦の3連敗を跳ね除けて大逆転で賜杯を抱いてみせた。優勝回数は大台の10回に王手を掛けたが、いつも優勝の翌場所は冴えない。休場していた横綱・大関が復帰してきそうが、横綱として初の連覇で威厳を示して欲しい。

西横綱 白鵬 翔 モンゴル出身 宮城野部屋

秋場所は左ひざのケガの回復途上で3年連続の休場となった。秋巡業には中盤から復帰して取組も務めたとのことで、順調に回復していれば優勝候補の筆頭だろう。まずは大台の40回目の優勝、幕内1000勝、東京オリンピックまで現役とこの横綱のモチベーションは尽きない。

東横綱A 稀勢の里 寛 茨城県出身 田子ノ浦部屋

春場所で左上腕を痛めてからなかなか本来の相撲が取ることができなかったが、全日本力士選士権では昨年に続く優勝、秋巡業は横綱として初めて皆勤するなど着実に復帰への道を歩み続けている。復活の鍵は左からの攻めだが、下手主体に取り口への変更が吉と出ると思いたい。

西横綱A 鶴竜 力三郎 モンゴル出身 井筒部屋

こちらも3場所連続休場中だが、しっかり治療に専念してきたようで、ケガの回復具合には手応えを感じている様子。今年は春場所しか皆勤していないため進退を懸けることになったが、10月には夫人と披露宴を行なったばかり。気持ちも新たに昨年優勝の九州場所に挑む。

東大関 豪栄道 豪太郎 大阪府出身 境川部屋

3横綱2大関が休場した先場所を引っ張ったのはこの大関だったが、終盤戦で大失速してあと一歩まで迫った賜杯はスルリとすり抜けていってしまった。自信も課題も見つかった場所だったが、休場した上位陣がそろって戻ってくる九州場所では先場所の反省を活かして欲しい。

西大関 安 晃 茨城県出身 田子ノ浦部屋

先場所は初日から3横綱が休場し、この人を優勝候補に挙げる声も少なくなかったが、2日目の玉鷲戦で右足太股の肉離れを起こしてしまい無念の途中休場。ケガの回復は完全ではないらしいが、初めてのカド番を乗り切るべく部屋の横綱との三番稽古を再開したとの情報だ。

東関脇 御嶽海 久司 長野県出身 出羽海部屋

初優勝の大チャンスだった秋場所が、スタートで出遅れて結局勝ち越しが精一杯とそれまでの2場所と比べると物足りない成績で終わってしまった。ただ年間勝利数は横綱日馬富士に次ぐ45勝。来年の大関取りにつなげるためにも、年間最多勝で三役定着の年を締め括りたい。

西関脇 嘉風 雅継 大分県出身 尾車部屋

先場所は途中の8連勝するなど年齢を感じさせない若々しい相撲で技能賞を受賞。今年はここまで全ての場所で勝ち越して三役連続在位は自己最長更新の4場所に伸びたが、もはやご当所を三役で迎えただけでは満足しないかも知れない。大関取りの起点に立てるような活躍を。

東関脇A 照ノ富士 春雄 モンゴル出身 伊勢ヶ濱部屋

カド番の先場所はひざのケガを悪化させて6日目から休場し大関陥落が決定した。秋巡業には後半から復帰してきたものの、まだ全快とはいかない様子らしい。気力があるが故に治療に専念できない嫌いもあるが、大関復帰を懸ける今場所が大きな分岐点になることだけは確かだ。

東小結 琴奨菊 和弘 福岡県出身 佐渡ヶ嶽部屋

およそ7年ぶりの平幕で迎えた秋場所は初金星を獲得し、大関陥落後初の2ケタ勝利を挙げるなど先場所だけでも大関として務めさせたいような活躍だった。ご当所の今場所では1場所での三役返り咲きとなったが、再び台風の目となれば大関復帰の目も出てくるかも知れない。

西小結 阿武咲 奎也 青森出身 阿武松部屋

上位初挑戦の先場所だったが、持てる以上の力を発揮して1横綱1大関を撃破して、新入幕から3場所連続の2ケタ勝利という離れ業をやってのけた。ライバルの貴景勝に先んじて新三役の座も手に入れた。白ウルフ旋風を巻き起こした新三役時の師匠同様の活躍が期待される。

東前頭筆頭 玉鷲 一朗 モンゴル出身 片男波部屋

先場所は2日目に安を破った際に右足首を捻ってしまい、翌日の出場も懸念されながら千秋楽まで務めたのは立派。しかし、その千秋楽で負け越しが決まり、6場所守った三役の座を明け渡してしまった。序盤戦は4横綱との対戦が予想されるが、金星獲得のチャンスか?

西前頭筆頭 貴景勝 光信 兵庫県出身 貴乃花部屋

秋場所は上位初挑戦の翌場所だったが、日馬富士、豪栄道と優勝決定戦に進出した横綱、大関を破って殊勲賞と勉強の成果を発揮。結果的には千秋楽の玉鷲戦に勝ったことでライバル阿武咲の新三役昇進をアシストする形になったが、もちろん自身もすぐに続くつもりに違いない。

東前頭2 千代大龍 秀政 東京都出身 九重部屋

先場所は豪栄道に続いて幕内で2番目に早く勝ち越しを決めたが、その後5連敗する尻すぼみな星勘定で負け越したような気分で場所を終えたのではないか? ただ一発での三役復帰はならずも、三役復帰に前進したことは確かだ。上位陣相手にふてぶてしい相撲を見せて欲しい。

西前頭2 栃煌山 雄一郎 高知県出身 春日野部屋

1年ぶりの三役で迎えた秋場所は番付発表と同時に自身の結婚を発表したが、土俵上で結果を出すまでには至らず、6勝に終わって1場所で平幕へ逆戻りとなってしまった。馬力が衰えたと見る向きもあるが、若手相手に意地を見せる相撲もあった。実力者の奮起を期待したい。

東前頭3 松鳳山 裕也 福岡県出身 二所ノ関部屋

秋場所では優勝争いトップの豪栄道を破って混戦を演出するなど2大関を破って存在感を示してくれた。本来ならご当所で気分良く臨むところだが、この場所前に師匠が路上で意識不明となるなど予断を許さない状況。病床の師匠を元気付けるためにも相撲で恩返しするしかない。

西前頭3 北勝富士 大輝 埼玉県出身 八角部屋

横綱・大関と総当たりの2場所目は勝ち越しこそならなかったが、初めての結びで日馬富士から金星を獲得するなど今や兄弟子の隠岐の海にとって代わる上位キラーへと成長した。新入幕から1年が経過したが、順調に伸びている。ライバル御嶽海との差を詰めていきたいところ。

東前頭4 千代の国 憲輝 三重県出身 九重部屋

先場所は前頭7枚目で9勝。すっかり幕内中堅クラスの力は付けたと見て良いだろう。秋巡業では横綱鶴竜に指名されて連日三番稽古を重ねたとのことで、横綱からも実力を認められているのだろう。今場所は対戦はなさそうだが、顔が合えば”恩返し”で”返り討ち”としたい。

西前頭4 逸ノ城 駿 モンゴル出身 部屋

先場所は多少復調の兆しを見せたものの、今や入幕当初の勢いはなくなってただ大きいだけの力士に成り下がってしまった印象だ。潜在的には大変な素質を秘めているとは思うのだが、取り口が大人しすぎるのが何とももったいない。気持ちを前面に出してもう一度ブレークを。

東前頭5 宝富士 大輔 青森県出身 伊勢ヶ濱部屋

同郷の後輩阿武咲が新三役の座をつかみ、同じ青森出身の兄弟子安美錦は39歳にして返り入幕を果たすなど発奮材料には事欠かない。2場所連続の9勝で少しずつ元の番付へと歩みを進めているが、それでも物足りない。今場所で三役返り咲きを決めるくらいの大勝ちが欲しい。

西前頭5 荒鷲 毅 モンゴル出身 峰崎部屋

先場所は変幻自在に相手を翻弄する取り口が目立ち9勝をマーク。つかみ所のなさが何とも対戦相手にとってはやりづらそうな力士だ。未だに初場所、春場所での金星が印象深いが、横綱陣も密かに再戦を望んでいるのではないか? それが実現するかどうかは荒鷲の頑張り次第。

東前頭6 千代翔馬 富士雄 モンゴル出身 九重部屋

秋場所は終始黒星が先行する星勘定から勝ち越しに漕ぎ着けたが、存在感は今一つ。実際の体重以上に相撲に重みが感じられない。立ち合いの踏み込みだけでも鋭くなれば流れは変わってきそうなものだが、こればかりは上で経験を重ねるしかない。飛躍のきっかけをつかみたい。

西前頭6 栃ノ心 剛史 ジョージア出身 春日野部屋

先場所は三役復帰目前の番付ながら、右ひざのケガも祟って番付を大きく落とすことになった。秋巡業は休んでケガの回復に努めたそうだが、その間に30歳の誕生日を迎えた。まだ老け込む歳ではないが、残された時間は多くはない。そろそろ”大人”の取り口を会得せよ。

東前頭7 大翔丸 翔伍 大阪府出身 追手風部屋

入幕後初めての2ケタ勝利を挙げた秋場所。大きく番付を上げて自己最高位を更新してきた。決して目立つタイプではないが、引き、いなしの巧さは持ち合わせている。ただここまで上がってくると、小手先の相撲はなかなか通じない。どう打開していくのか注目して見守りたい。

西前頭7 正代 直也 熊本県出身 時津風部屋

本来なら2ケタ勝てる番付だった先場所だが、上位陣の大量の休場で対戦圏が下がって役力士と総当たりとなったため負け越した。ライバルと言われていた御嶽海が三役に定着しているのに対しすっかり影が薄くなってきているが、ご当所の今場所は汚名返上の場所として欲しい。

東前頭8 ノ岩 義司 モンゴル出身 貴乃花部屋

秋場所は初日から4連勝するなど好調で11日目に給金直し。8勝に終わりこそしたが、相撲内容はもっと勝っているのではないかと錯覚させる程の力強さがあった。弟弟子の貴景勝の活躍で十分刺激も受けているのだろうが、今場所も相乗効果で活躍が十分に期待できそうだ。

西前頭8 千代丸 一樹 鹿児島県出身 九重部屋

返り入幕を果たした名古屋場所から四つ相撲に開眼して2場所連続の9勝。今場所は自己最高位を塗り替えて迎えて、まさに故郷に錦を飾る凱旋となった。強くなってきて人気も急上昇中だが、ついにCMが放映されるまでになった。今の勢いのまま一気に上位進出を果たしたい。

東前頭9 遠藤 聖大 石川県出身 追手風部屋

左足首の手術明けで臨んだ秋場所は、稽古不十分ながら抜群の相撲センスで2ケタ勝利を挙げたのはさすがと言うしかない。秋巡業は途中から離脱しておりケガの状態はまだ万全とはいかないようだが、上手くケガと付き合いながら少しずつ番付を戻していってもらいたい。

西前頭9 大栄翔 勇人 埼玉県出身 追手風部屋

先場所は幕内で初めての4連勝スタート。7日目まで1敗と好調だったが、後半は白星が伸びずに8勝止まり。改めて押し相撲が調子を持続する難しさを実感したのではないか? 秋巡業中は鶴竜に稽古相手に指名されたらしいが、本場所での対戦はまだなく当面の目標だろう。

東前頭10 魁聖 一郎 ブラジル出身 友綱部屋

返り入幕の先場所は黒星が先行することなく9勝を挙げ、右ひざの状態が上向いていることを感じさせた。かつては横綱白鵬の土俵入りに帯同していたが、石浦の十両陥落でそれも復活する可能性も出てきた。このまま勝ち越しを続けて、もう一度対戦できる番付に戻って欲しい。

西前頭10 勢 翔太 大阪府出身 伊勢ノ海部屋

番付を落とした先場所は連勝スタートを切ったものの、二度の4連敗が響いて負け越し。秋巡業も途中で離脱したとのことで体調面にも不安を抱えているようだった。前頭2ケタの番付はおよそ2年ぶりだが、ここ2年2ケタ勝利と験の良い九州場所で何とか巻き返したいところ。

東前頭11 碧山 亘右 ブルガリア出身 春日野部屋

先場所は順調な調整で来ていたはずが、場所直前に左ひざを痛めて前半を休場。名古屋場所で自己最高の13勝を挙げたばかりだっただけに、何とも残念な場所になってしまった。前頭2ケタ台まで番付を落とすのは入幕当初だった5年半前まで遡る。力の差を見せ付けられるか?

西前頭11 朝乃山 英樹 富山県出身 高砂部屋

新入幕だった秋場所では14日目まで優勝争いの中にあるなど活躍。10勝を挙げて敢闘賞を受賞した。秋巡業では横綱陣から次々と稽古相手に指名され、白鵬にも「昔の自分に似ている」と言わしめた程。幕内2場所目の今場所も活躍してくれそうな予感がムンムンに漂っている。

東前頭12 隠岐の海 歩 島根県出身 八角部屋

先場所は初日に苦手の遠藤に完勝して期待を持たせたものの、終わってみれば千秋楽でやっと勝ち越しと物足りない場所だった。横綱・大関相手に平然と殊勲の星を挙げていたのはまだ1年前のことだ。意外性は今のような低迷ではなく、上位陣相手にこそ発揮してもらいたい。

西前頭12 輝 大士 石川県出身 高田川部屋

秋場所は上位初挑戦の翌場所だったが、勉強の成果を発揮することができず4勝止まり。先場所殊勲賞の貴景勝を寄せ付けないだけの突っ張りがあるのだから、決して素質がないわけではない。巡業中も常に最初に姿を現すなど稽古熱心さには定評があり、報われて欲しいものだ。

東前頭13 豪風 旭 秋田県出身 尾車部屋

先場所は5連敗の苦しい滑り出しで十両落ちも心配されたが、中盤から盛り返して6勝を挙げて何とか幕内の座は死守した。先場所まで幕内最年長だったが、安美錦が幕内に帰ってきたことでそれも解消された。意識があるかどうかはわからないが、ベテランの頑張りにも期待だ。

西前頭13 安美錦 竜児 青森県出身 伊勢ヶ濱部屋

存在感のある業師がいよいよ幕内に帰ってきた。アキレス腱を断裂した際には再起不能かと思われたが、着実に勝ち越しを重ねたことで史上最年長の39歳での返り入幕へとつながった。「もう一度横綱とやりたい」と言う意気軒高なベテランが幕内前半戦を席巻してくれそうだ。

東前頭14 琴勇輝 一巖 香川県出身 佐渡ヶ嶽部屋

ひざのケガの影響で幕内から陥落したが、十両では優勝決定戦に進出するなど1年ぶりの勝ち越しで力の違いを見せ付けた格好だ。1場所での返り入幕を果たしたが、悪い流れを断ち切ったことで気持ちもリセットできたはず。再び勢いを取り戻して番付を戻していって欲しい。

西前頭14 大奄美 元規 鹿児島県出身 追手風部屋

十両優勝の翌場所だった先場所は序盤戦で3連敗と苦しんだものの、中盤から星を挽回して9勝をマーク。ご当所九州での新入幕へとつなげた。小兵が多い奄美大島にあって例外的に巨体の持ち主だが、元実業団横綱という肩書きからもスケールの大きさを感じずにはいられない。

東前頭15 錦木 徹也 岩手県出身 伊勢ノ海部屋

先場所は一向に調子が上がることなく、14日目に9敗と十両落ちに後のない所まで追い込まれたが、千秋楽には同期生の栃ノ心を無我夢中の相撲で寄り切って、どうにか剣が峰で踏み止まった。今場所は更に厳しい番付だが、先場所の千秋楽の気持ちで取れれば15戦全勝も?

西前頭15 妙義龍 泰成 兵庫県出身 境川部屋

秋場所は一進一退の星勘定ながら終盤の3連勝で勝ち越しを決めて、今場所での返り入幕につなげた。場所後には高校時代の同級生と結婚し、既に子供がいることも公表した。妙義龍自身のけじめだったのかも知れないが、公式に妻子持ちとして最初の場所で存分に暴れて欲しい。

東前頭16 宇良 和輝 大阪府出身 木瀬部屋

右ひざの回復途上で出場した先場所だったが、2日目に苦手の貴景勝に敗れた際にケガを悪化させて途中休場。その後靱帯断裂だったことが判明したものの、一時は浮上した手術も取りやめたらしい。場所前は若い衆相手に稽古を重ねるも本調子にはなく、出場が危ぶまれている。


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