SHIN様の全幕内力士寸評

(平成30年初場所前)


東横綱 白鵬 翔 モンゴル出身 宮城野部屋

九州場所では大台の40回目の優勝を果たしたが、日馬富士の暴行現場に居合わせながら、止めようとしなかったとして1ヶ月半の減俸処分が科せられた。横綱らしからぬ荒っぽい取り口にも批難が集中しているが、実力がナンバー1なのは間違いない。初場所も優勝の大本命だ。

西横綱 稀勢の里 寛 茨城県出身 田子ノ浦部屋

旧年は念願の賜杯を抱いて横綱にも昇進したが、新横綱場所で左上腕を負傷してからは満足に相撲が取れず、皆勤した場所すらない。番付発表後に安との稽古を再開したそうだが、復帰の時期は不明。次の出場で進退も懸かる厳しい状況も、新年は汚名返上の年として欲しい。

西横綱A 鶴竜 力三郎 モンゴル出身 井筒部屋

ケガに泣かされて不本意な一年だったが、一連の日馬富士暴行問題に巻き込まれる形で1ヶ月分の給与無支給処分を受けた。次の出場場所で進退を懸ける考えは変わっていないようだが、新たに力士会会長に選出されたばかり。角界を引っ張っていくためにも奮起が期待される。

東大関 豪栄道 豪太郎 大阪府出身 境川部屋

秋場所に続き九州場所も稽古十分で臨んだものの、終わってみれば勝ち星は2ケタにも届かなかった。攻め込まれたら引きに頼ってしまう悪癖が足を引っ張っている。横綱の枠が1つ空いてチャンスも出てきたが、関脇以下には満載の大関候補たちの前に意地を見せたいところだ。

西大関 安 晃 茨城県出身 田子ノ浦部屋

旧年は大関昇進という大きな目標を果たしたものの、その後はケガに泣かされる場所が続き、兄弟子の稀勢の里程ではないが、まだ本領は発揮できていない。新年は初優勝と横綱昇進を目指す年になるが、それが狙えるだけの地力があるだけに早いケガの回復が待たれてならない。

東関脇 御嶽海 久司 長野県出身 出羽海部屋

平成29年は全幕内力士の中で唯一6場所全てを勝ち越し、すっかり三役に定着した。ただ三役昇進後は2ケタ勝利がなく、なかなか大関取りの声は掛かってこない。東正関脇の地位に3場所連続で座っているのは大関候補最右翼の証。新年ではもう1つ上へ突き抜けていきたい。

西関脇 玉鷲 一朗 モンゴル出身 片男波部屋

三役に返り咲いた平成28年九州場所以降、すっかり地位に見合うだけの地力を付けてきた。先場所は7場所ぶりの平幕だったが、幕内では自己最高更新の11勝を挙げて関脇復帰を決めてみせた。33歳になったが今がまさに全盛期。突き押しに磨きを掛けて大関昇進を目指す年だ。

東小結 貴景勝 光信 兵庫県出身 貴乃花部屋

新入幕で始まった旧年だが、あっという間に地力を増して新年は新三役としてスタートを切る。渦中の貴乃花親方の弟子ということで注目を集めたが、新三役の会見には1人で臨んだ。暴行の被害者である貴ノ岩も休場が濃厚だが、ぶれない精神力で良い報告をしてくれるはず。

西小結 阿武咲 奎也 青森出身 阿武松部屋

旧年は新入幕から3場所連続の2ケタ勝利という快挙を成し遂げ、新三役だった先場所も苦しい星勘定から勝ち越してみせた。新関脇の可能性もあったが、実際はライバルの貴景勝と小結で東西の座を分け合うこととなった。この両者による大関昇進争いも新年の大きな見所だ。

東前頭筆頭 北勝富士 大輝 埼玉県出身 八角部屋

若手の有望株が期待に違わぬ活躍を見せてくれた平成29年。横綱・大関初挑戦だった名古屋場所から3場所連続で金星を獲得し大関からも5勝。先場所は前頭3枚目で11勝と三役昇進でもお釣りの来る大活躍も平幕据え置き。三役級の地力を再度示して今度こそ文句なしの昇進を。

西前頭筆頭 逸ノ城 駿 モンゴル出身 部屋

この2年程パッとしない土俵が続いていたが、九州場所では積極的な相撲に変わってきて上位対戦圏では初めての2ケタ勝利を挙げた。意外と言っては失礼だが、旧年は年間で50勝もした実力者。まだまだ24歳の若手なのだから反撃はここから。再度大関を目指してもらいたい。

東前頭2 嘉風 雅継 大分県出身 尾車部屋

先場所は11日目に会心の相撲で白鵬を破りながら、翌12日目の千代の国戦で右足を痛めて無念の負け越し。年間6場所全てでの勝ち越しと殊勲賞の快挙は消えたが、それまで三役に定着していたこと自体が活躍の証。5場所ぶりに平幕の今場所も上位陣を掻き回してくれそうだ。

西前頭2 琴奨菊 和弘 福岡県出身 佐渡ヶ嶽部屋

旧年は大関陥落という辛酸を嘗めたが、ズルズル番付が後退することなく、横綱・大関と対戦する地位は維持。秋場所では幕内74場所目にして初金星も獲得しており、上位陣相手に戦える力はまだ残っている。元大関として存在感を示す相撲を一番でも多く見せてくれるだろう。

東前頭3 千代大龍 秀政 東京都出身 九重部屋

一時は十両でもなかなか勝たせてもらえない時期もあったが、体重が190キロに乗った秋場所からは幕内上位でもある程度通用するくらいまでに復調。九州場所では豪栄道を破って4年ぶりの大関戦勝利も挙げてみせた。30歳の誕生日を迎える新年では三役復帰で完全復活を。

西前頭3 栃ノ心 剛史 ジョージア出身 春日野部屋

30代最初の場所は上位陣と顔が合ったわけでもないのに、勝ち星を2ケタに乗せられなかった。ただこれで不満の残したこと自体が実力者という見方はできるだろう。今場所は横綱・大関と総当たりする番付まで戻ってきた。そろそろ上位陣の厚い壁を攻略してもらいたい。

東前頭4 正代 直也 熊本県出身 時津風部屋

旧年は新関脇で始まったものの、上位総当たりの番付では勝ち越すことができず、精彩を欠いた印象の一年だった。その間に様々な同世代の力士に抜かれてすっかり影が薄くなってしまった。もともとは自他共に認めるライバルだった御嶽海同様三役に定着を果たせる年にしたい。

西前頭4 荒鷲 毅 モンゴル出身 峰崎部屋

平成29年は上位初挑戦でスタートしたが、その場所で白鵬、鶴竜の2横綱から金星をせしめる快挙を成し遂げた。それ以降は下位に甘んじたものの、今場所は久々に横綱・大関と顔が合う地位まで戻ってきた。飄々として業師が横綱・大関陣を再び返り討ちにするのか注目だ。

東前頭5 隠岐の海 歩 島根県出身 八角部屋

この1年程低迷していたが、最後の最後の場所で優勝争いに絡む活躍を見せて復活の11勝。弟弟子の北勝富士の活躍に刺激を受けたのだろうが、実は十両に陥落したら引退すると決めていたそうで、尻に火が点いたのが大きかった。再び上位陣を掻き回して三役に返り咲きたい。

西前頭5 遠藤 聖大 石川県出身 追手風部屋

旧年は左足首のケガで休場もあったが、稀勢の里からの金星第一号に輝くなど上位陣相手に健闘も光った一年だった。土俵に復帰してからの2場所は総じて良い相撲内容で少しずつ番付を戻してきた。経験していそうでしていない新三役の座を新年こそはつかみ取って欲しい。

東前頭6 宝富士 大輔 青森県出身 伊勢ヶ濱部屋

年末は日馬富士の暴行が部屋や角界のみに留まらず、連日世間を騒がせる大問題へと発展したが、そんな中自身は結婚していたことを公表し、久々に明るい話題を提供してくれた。結婚指輪には給料3ヶ月分の600万相当掛けたそうだが、その意気込みを土俵にもつなげられるか?

西前頭6 勢 翔太 大阪府出身 伊勢ノ海部屋

平成29年は下位に下がっても2ケタ勝てずやや停滞の印象の一年だった。しかし、金星を3つ獲得する活躍もあるなど本来ならば常に上位で取るだけの地力は備わっている力士だ。四股名の通り勢いが付いたら手の付けられない強さで勝ち進む姿を新年こそは見せてもらいたい。

東前頭7 千代翔馬 富士雄 モンゴル出身 九重部屋

旧年は6場所全てで前頭1ケタ台にあり、横綱・大関への初挑戦も経験したが、存在感を示したとまでは言い難い一年だった。新入幕から幕内の座は守り続けているが、期待されているのはもっと上の次元での安定感だ。強い気持ちを相撲につなげて飛躍の年として欲しいものだ。

西前頭7 千代の国 憲輝 三重県出身 九重部屋

千代の国にとっては忘れられない年だったであろう平成29年。上位初挑戦の夏場所では鶴竜から金星を獲得し、関取昇進後初めてとなる年間90日皆勤を達成した。ただ旧年最後の相撲で右足を痛めてしまい、その回復状況の情報はない。元気さと表裏一体のケガの多さが玉に傷だ。

東前頭8 栃煌山 雄一郎 高知県出身 春日野部屋

かつての大関候補もこのところすっかり衰えが目立つようになり、2年連続で年間最多敗を争うようになった。栃煌山にとっては所帯を持った節目の一年だったが、プライベートの充実が相撲につながっていない。上位と対戦する機会も減ったが、まだ老け込んで欲しくはない。

西前頭8 魁聖 一郎 ブラジル出身 友綱部屋

旧年はひざのケガで初めての休場を経験し、十両にも陥落したが、それも徐々に回復傾向にあるのか少しずつ番付を戻してきた。かつては3場所連続で三役も務めた実力者だけに本来はこの辺りで取る力士ではない。平成29年は1番もなかった横綱・大関との対戦までもう少しだ。

東前頭9 松鳳山 裕也 福岡県出身 二所ノ関部屋

先場所の番付発表前には師匠の元大関若嶋津が意識不明になるアクシデント。ご当所の九州場所は普段以上の気迫で臨んだものの、結果は3勝止まりで年間最多敗となるなど散々だった。今場所は大きく番付を落としたが、敢闘精神溢れる相撲は上位陣相手にこそ見せて欲しい。

西前頭9 千代丸 一樹 鹿児島県出身 九重部屋

以前は引き、叩きの目立つ力士だったが、平成29年は四つ相撲に開眼したことで2年ぶりの幕内復帰を果たすことができた。かつては千代鳳の後塵を拝していたが、その弟は幕下陥落となり完全に立場は逆転した。今度は自身の活躍で弟の千代鳳の番付を引っ張り上げていく番だ。

東前頭10 照ノ富士 春雄 モンゴル出身 伊勢ヶ濱部屋

平成29年屈辱を味わったという意味では照ノ富士が一番ではないだろうか? 復調を見せた春場所では手負いの稀勢の里相手に賜杯を逃し、大関の地位も明け渡した。日馬富士暴行の現場に居合わせ精神的にも疲弊しているだろうが、ケガが回復さえすれば優勝も争える実力者だ。

西前頭10 安美錦 竜児 青森県出身 伊勢ヶ濱部屋

旧年は復活へ大きな一歩を進めた年だった。アキレス腱断裂で十両に陥落してから1年半、コツコツと勝ち越しを積み上げて返り入幕の九州場所でも給金直し。千秋楽のインタビューでの涙は印象的だった。目標はもう一度横綱と対戦することだが、それも現実味を帯びてきた。

東前頭11 琴勇輝 一巖 香川県出身 佐渡ヶ嶽部屋

この一年はひざのケガの影響でなかなか勝ち越すことができなかったが、十両に落ちた秋場所で優勝決定戦に進出すると返り入幕の九州場所でも勝ち越しと復調カーブを描いてきた。上位進出当初は横綱・大関を次々となぎ倒してきた。そんな活躍をもう一度見せてもらいたい。

西前頭11 大翔丸 翔伍 大阪府出身 追手風部屋

新入幕以降幕内の座を守り続けてはいるものの、旧年は似たような番付に終始した年だった。秋場所の2ケタ勝利でそんな状況から脱却できたかに見えたが、九州場所の大敗で再び前頭2ケタ台まで逆戻りしてしまった。新年は上位進出へ向けて真価の問われる一年となるだろう。

東前頭12 蒼国来 栄吉 中国出身 荒汐部屋

様々な初めてを経験した平成29年。初場所では幕内では初めてとなる12勝を挙げて初の三賞も受賞。春場所では初金星を獲得し、九州場所では初の十両優勝を13日目に決める独走だった。新年は幕内に返り咲いて迎えることになったが、まだまだ全盛期はこの先かも知れない。

西前頭12 輝 大士 石川県出身 高田川部屋

平成29年は幕内の実力者としての地位を確立した一年だった。勝ち越しこそ2場所に留まったが、横綱・大関との初対戦も経験した。その後は負け越しが続いているが、今場所は部屋の竜電が大ケガを克服して新入幕を果たしている。先に幕内に上がった身としては負けられない。

東前頭13 豪風 旭 秋田県出身 尾車部屋

幕内最年長として奮闘してきたが、更に年上の安美錦の状況は気になっていたようで、九州場所での対戦は豪風にとっても感慨深いものだったようだ。今場所はその安美錦に番付でも抜かれてしまった。押し切る相撲はなかなか取れなくなったが、ベテラン同士の争いにも注目だ。

西前頭13 大栄翔 勇人 埼玉県出身 追手風部屋

1年前の十両優勝を皮切りに幕内定着こそ果たし、横綱・大関初挑戦も実現した旧年だったが、年の後半では活躍できずに尻すぼみな印象で終わってしまった。巡業では連日横綱勢の稽古に駆り出されるなどその資質は買われている。そんな周囲の期待に応えられる年としたい。

東前頭14 阿炎 政虎 埼玉県出身 山部屋

2年程幕下に甘んじていたが、名古屋場所で関取復帰を果たすと秋場所では4人の決定戦を制して十両優勝。九州場所では自己最高位で自己最高の11勝で新入幕を決めた。出足が伴うようになって好結果につながってきたが、三賞にも意欲を見せているようで活躍が期待される。

西前頭14 豊山 亮太 新潟県出身 時津風部屋

新入幕だった夏場所を機に「豊山」という大きな四股名をもらった年だったが、幕内では思った以上に家賃が高く、まだ勝ち越せてはいない。十両陥落となった先場所はひざが万全でない中9勝したが、周囲の求めているのはもっと高いレベルだ。新年では壁を突き破って欲しい。

東前頭15 石浦 将勝 鳥取県出身 宮城野部屋

初めて十両に陥落した九州場所だったが、千秋楽に給金を直して1場所での返り入幕を決めた。日馬富士暴行の酒席に同席していたことで、警察からの事情聴取も受けるなどとばっちりも受けたが、厳重注意を受け「良い相撲を取るだけ」と一言。不祥事の返上は相撲で図る。

西前頭15 錦木 徹也 岩手県出身 伊勢ノ海部屋

旧年は夏場所で十両に陥落したために優勝も経験したが、前頭2ケタ台がすっかり定位置になってしまい物足りない一年だった。この3場所は千秋楽に敗れれば十両落ちと綱渡りの場所が続いているが、実力的にはもっと上で取れる力士。新年では再浮上のきっかけをつかみたい。

東前頭16 竜電 剛至 山梨県出身 高田川部屋

およそ5年前の新十両の場所で股関節を痛めて序ノ口まで陥落したが、懸命に克服してついに新入幕を勝ち取った。関取経験者が序ノ口陥落後に新入幕を果たすのは琴別府以来史上2人目。地道に力を付けてきた苦労人だけに報われて欲しいが、ここからが本当の相撲人生だ。

西前頭16 朝乃山 英樹 富山県出身 高砂部屋

先場所は左足首を痛めた影響もあってか、入門以来初めての負け越しと壁に当たった場所だった。ライバル豊山に幕内での勝ち越しと三賞では先んじたものの、今場所は番付では逆転を許してしまった。新年ではこの両者の出世争いがもっと上位で見られることを期待したい。

東前頭17 大奄美 元規 鹿児島県出身 追手風部屋

新入幕の先場所は壁に当たって6勝止まり。本来なら十両陥落の成績だったが、日馬富士の引退によって1枠空いたことで、ギリギリ幕尻に留まることができた。幕内定着へ向けて課題は山積しているが、出世する力士は番付運に恵まれることが多い。自身もそこに肖れるか?


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