SHIN様の全幕内力士寸評

(平成29年秋場所前)


東横綱 白鵬 翔 モンゴル出身 宮城野部屋

先場所は通算勝利数に注目が集まる中で史上1位だった元大関魁皇の記録を塗り替えて通算勝ち星を1050勝まで伸ばしたが、夏巡業では「名古屋場所前から痛めていた」という左ひざのケガで一時離脱。「稽古すると痛む」という状態の中でV40の懸かる秋場所に挑む。

西横綱 日馬富士 公平 モンゴル出身 伊勢ヶ濱部屋

名古屋場所は横綱昇進後初の連敗スタートで心配されたが、11勝を挙げてどうにか面目を保った。場所後は左ひじの手術も検討したが、「完治に1年かかる」とのことで断念。最後の優勝から1年以上が経ち、そろそろ賜杯を取り戻したいところ。横綱の気力に期待したい。

東横綱A 稀勢の里 寛 茨城県出身 田子ノ浦部屋

先場所は夏場所より体調が上向いているはずだったが、もともと痛めていた左上腕に加えて、5日目の勢戦で左足首を痛めて2場所連続の途中休場となった。夏巡業には途中から参加し懸命の調整ぶりも、横審は秋場所休場を容認しており、稀勢の里の決断が気に掛かる。

西横綱A 鶴竜 力三郎 モンゴル出身 井筒部屋

休場明けの名古屋場所は3日目に北勝富士に敗れた際に右足首を痛めて途中休場。夏巡業も中盤まで休場してODAIBA場所で復帰したが、「まだ普通に歩けない状態」と万全には程遠い。次の出場では進退を懸けると明言しているだけに、しばらくは休場が続く可能性も…

東大関 安 晃 茨城県出身 田子ノ浦部屋

新大関の先場所は10日目で給金を直すも、その後失速して勝ち星を2ケタに乗せることもできなかった。夏巡業では連日若手と精力的に稽古をこなしていたという。横綱・大関の中で一番体調での不安がないだけに、今場所は初優勝の大チャンス。果たしてモノにできるか?

西大関 豪栄道 豪太郎 大阪府出身 境川部屋

1年前の秋場所で全勝で初優勝を遂げた豪栄道も、先場所は最後の3日間の横綱・大関戦を全敗して負け越し。今場所は6回目のカド番とまたしても大関陥落のピンチに立たされているが、昨年の秋場所も同じ状況下での快挙だった。今年もその再現と行きたいところだ。

東大関A 照ノ富士 春雄 モンゴル出身 伊勢ヶ濱部屋

春場所、夏場所と2場所連続で準優勝と復調の気配を見せていたが、先場所は左ひざの術後ということで途中休場。「全治7週間」との診断が下り夏巡業も全休していたが、番付発表直後には体調の良さに自信を深めていた様子。5回目のカド番だが、果たしてどうなるか?

東関脇 御嶽海 久司 長野県出身 出羽海部屋

新関脇の先場所は白鵬の大記録を1日日延べにさせる殊勲の勝ち星を挙げて、2場所連続の殊勲賞受賞。三役も今場所で4場所連続となったが、まだ2ケタ勝利はない。番付上では大関に最近距離となったが、大関取りは横一線の状況。この争いからいち早く抜け出したい。

西関脇 嘉風 雅継 大分県出身 尾車部屋

先場所も普段と変わらぬ上位キラーぶりを発揮して名古屋の土俵を盛り上げたが、千秋楽も敗れて惜しくも技能賞は逃した。しかし、35歳5ヶ月での関脇復帰は昭和以降最高齢とのこと。気力は場所を追うごとに増しており、「大関を目指す」のもあながち不可能ではない。

東小結 玉鷲 一朗 モンゴル出身 片男波部屋

名古屋場所では千秋楽で栃煌山に敗れて負け越し。4場所守った関脇の座を明け渡すこととなり、大関争いでは一歩後退となった。しかし、3大関全員に土を付けるなど地力は大関と遜色ない程だ。得意の突き押しを炸裂させて、まずは大関候補最右翼の座を取り戻したい。

西小結 栃煌山 雄一郎 高知県出身 春日野部屋

力強い取り口が戻ってきて、先場所は優勝決定戦に進出した5年前の夏場所以来の12勝。1年ぶりの三役復帰へとつながった。番付発表と同時に結婚を公表し、公私共に充実の時を迎えている。30代に突入したが、年上の嘉風、玉鷲に負けず再び大関を目指して欲しい。

東前頭筆頭 栃ノ心 剛史 ジョージア出身 春日野部屋

先場所は1横綱1大関を破る活躍で9勝を挙げたものの、番付運悪く三役復帰とはならなかった。今場所の番付は東前頭筆頭なので、勝ち越せば今度こそ三役返り咲きは間違いないところだ。横綱・大関相手に気後れする傾向も改善されつつあり、成長を見せてくれそうだ。

西前頭筆頭 琴奨菊 和弘 福岡県出身 佐渡ヶ嶽部屋

名古屋場所では4連敗スタートから巻き返したものの、14日目で負け越しが決定。今場所は実に40場所ぶりの土俵となる。ただ今でも大関時代を彷彿とさせる出足は健在で、横綱・大関には脅威だろう。ご当所の九州場所に三役で帰るためにも何としても勝ち越さなければ…

東前頭2 北勝富士 大輝 埼玉県出身 八角部屋

先場所は上位初挑戦で1横綱2大関を破る活躍も、千秋楽に琴奨菊に敗れて初の三賞獲得とはならなかった。今場所も横綱・大関と総当たりの番付。2場所目だけに真価の問われるところ。夏巡業中は連日安に稽古をつけてもらったそうで、その成果を発揮して欲しい。

西前頭2 碧山 亘右 ブルガリア出身 春日野部屋

番付を大きく落とした名古屋場所だったが、千秋楽まで優勝争いに絡んで自己最高の13勝をマークして新入幕以来となる三賞も受賞した。最近は自慢の突っ張りがなかなか上位陣に通じていなかったが、これで自信を取り戻したか? 約3年ぶりの三役復帰へ大きく前進だ。

東前頭3 阿武咲 奎也 青森出身 阿武松部屋

新入幕の夏場所に続く2ケタ勝利で今場所は横綱・大関に初挑戦する。このところ急速に力をつけている活きの良い若手だ。夏巡業中は毎日のように安と稽古し、大関を圧倒した日もあったという。新入幕から3場所連続2ケタ勝利という戦後初の快挙達成にも注目だ。

西前頭3 千代大龍 秀政 東京都出身 九重部屋

この3年程幕内と十両の往復が続いていたが、先場所は持ち前の立ち合いの当たりの強さに加えて、二の矢の攻めも出て3年ぶりの2ケタ勝利を挙げた。今場所はその翌場所の新三役の時以来の横綱・大関戦が組まれる番付まで戻ってきた。久々の上位戦で存分に暴れたい。

東前頭4 松鳳山 裕也 福岡県出身 二所ノ関部屋

先場所は中盤戦を五分の星で終えたが、終盤戦は5連勝として7場所ぶりの2ケタ勝利。再び横綱・大関戦の組まれそうな番付まで戻ってきたが、目標はもちろん3年半ぶりとなる三役復帰だろう。今場所は上位陣の多くが負傷を抱えており、絶好のチャンスかも知れない。

東前頭4 宇良 和輝 大阪府出身 木瀬部屋

結果的に上位初挑戦となった名古屋場所では日馬富士から初金星を獲得したが、翌日の安戦で右ひざを痛めて惜しくも負け越した。気になる回復具合はあまり情報が伝わってきてはいないが、この力士がいるといないでは盛り上がりが全然違う。早く治してもらいたい。

東前頭5 正代 直也 熊本県出身 時津風部屋

名古屋場所では日馬富士からの初金星もあったが、全体的に低調な内容で5勝止まり。御嶽海が三役に定着してきてライバルに水をあけられてきている。今場所は横綱・大関と顔が合うか微妙な番付だが、序盤から勢いを付けて三役復帰へとつなげてもらいたいところだ。

西前頭5 貴景勝 光信 兵庫県出身 貴乃花部屋

横綱・大関初挑戦の先場所は上位陣の壁に跳ね返されはしたが、随所に貴景勝らしい闘志溢れる相撲を見せて大器の片鱗は見せてくれた。今場所はライバルの阿武咲が上位陣に初めて挑むが、こちらの出世争いも激化しそうだ。どちらが先に三役の座をつかむのかも注目だ。

東前頭6 逸ノ城 駿 モンゴル出身 部屋

もはや過去の人になってしまったのか? ちょうど1年前に腰痛で休場して以降は、なかなか上位と顔の合う番付まで戻すこともできていない。嘉風、玉鷲のように30歳を超えていても三役で健闘している力士もいるが、逸ノ城はまだ24歳。気力を振り絞って再浮上を。

西前頭6 輝 大士 石川県出身 高田川部屋

自己最高位更新の先場所は星こそ挙がらなかったが、横綱初挑戦で日馬富士を土俵際まで後退させるなどなかなか見所のある場所だった。愚直に前に出ようとする姿勢からは本人の真面目な人柄を窺い知ることができる。こういう力士こそ上位に定着してもらいたいものだ。

東前頭7 千代の国 憲輝 三重県出身 九重部屋

ご当所の名古屋場所では1勝5敗の苦しい滑り出しだったが、後半戦で盛り返して14日目で勝ち越しを決めた。気迫を前面に出して逆転する相撲もあるが、上位進出へは前に出るだけの力をもっと付けなくてはならない。それができれば、上位再挑戦の日も近いだろう。

西前頭7 勢 翔太 大阪府出身 伊勢ノ海部屋

先場所は稀勢の里戦16戦目にして初勝利を収める金星も挙げたが、勢らしい思い切りの良い相撲はあまり見られず4勝に終わった。今場所は横綱・大関と顔が合わない番付だけに、本来の力が発揮できれば2ケタ勝利も十分可能だろう。汚名返上の場所としてくれるはずだ。

東前頭8 千代翔馬 富士雄 モンゴル出身 九重部屋

名古屋場所では相次ぐ上位陣の休場で対戦相手が繰り下がって、2場所連続の横綱・大関戦が組まれて5勝止まり。しかし、9日目に豪栄道を破って大関戦初勝利を挙げた。先代の師匠が亡くなって1年が経ったが、”一番褒められた弟子”としての期待に応えて欲しい。

西前頭8 宝富士 大輔 青森県出身 伊勢ヶ濱部屋

大きく番付を落とした名古屋場所では10日目に勝ち越しを決めたものの、終盤戦で星が稼げず9勝に終わった。同じ中泊町出身の阿武咲がこのところ急速に力を付けてきており、後塵を拝するわけにはいかない。秋場所では先輩の意地を見せるような奮闘を期待したい。

東前頭9 ノ岩 義司 モンゴル出身 貴乃花部屋

休場明けの先場所はほとんど稽古ができない状態で臨んで7連敗の苦しいスタートだったが、終盤4連勝と盛り返して最終的には6勝まで挽回して力のあるところを見せてくれた。体調の上向いてきそうな今場所はもっと成績も挙がるはず。早い上位再浮上が待たれる。

西前頭9 荒鷲 毅 モンゴル出身 峰崎部屋

新婚場所の名古屋場所は途中4連敗もありながら、千秋楽で勝ち越し決定。いわゆる掴み所のない力士だが、初場所、春場所と2場所で3個もの金星をせしめた活躍は記憶に新しい。ああいう曲者ぶりは横綱・大関にこそ見せてもらいたいもの。新妻に良い所を見せたい。

東前頭10 石浦 将勝 鳥取県出身 宮城野部屋

先場所も懸命の相撲で土俵を盛り上げたが、勝ち越しにはあと一歩及ばなかった。夏巡業は首の治療のために全休したそうだが、幕内最軽量故に身体に相当な負荷が掛かっているのだろう。新入幕からまもなく1年になるが、部屋の横綱との厳しい稽古の成果を発揮したい。

西前頭10 豪風 旭 秋田県出身 尾車部屋

38歳となって最初の場所だったが、ベテランが経験で勝る相撲で存在感を示してくれた名古屋場所。部屋では矢後が早くも新十両に昇進し、関取最年長の安美錦が返り入幕目前と発奮材料には事欠かない。身体の張りも申し分なく、旭天鵬に続く40歳幕内も夢ではなさそう。

東前頭11 大栄翔 勇人 埼玉県出身 追手風部屋

上位初挑戦の夏場所から連続の2ケタ負けで、番付は再び前頭2ケタ台まで落ちてしまった。最近は突き押しの割にその得意技を徹底し切れない弱点が露呈されている。良い突き押しを持っているのだから、気持ちを強く持って秋場所に臨めれば、結果は自ずから出るはず。

西前頭11 千代丸 一樹 鹿児島県出身 九重部屋

2年ぶりの返り入幕だった名古屋場所では、それまでの引き、叩きの相撲から脱却して、お腹を使って寄っていく新しいスタイルで幕内では初めての9勝をマークした。今後この取り口を確立することができれば更に番付が上がるはず。そうなるのか注目したい秋場所だ。

東前頭12 大翔丸 翔伍 大阪府出身 追手風部屋

先場所は負け越し寸前から3連勝と粘ったものの、千秋楽で残念ながら負け越しが決まってしまった。このところ前頭下位に甘んじているが、本音はもっと安心できる地位で取りたいところだろう。春場所まで連続負け越しで苦しんだが、考え過ぎずに取ってもらいたい。

西前頭12 佐田の海 貴士 熊本県出身 境川部屋

6月に結婚式を行なって臨んだ名古屋場所は、中日まで3勝5敗と苦しんだものの、9日目からの4連勝がモノを言って千秋楽で給金直し。諸差しになれば幕内上位の力も、父親の元小結佐田の海はもっと巧かったとの声もある。父親に近付けば、番付も戻っていくはず。

東前頭13 錦木 徹也 岩手県出身 伊勢ノ海部屋

返り入幕の先場所は4連勝の好スタートを切ったものの、その後は思うように星を伸ばすことができず、結局千秋楽でようやく勝ち越しという場所だった。しかし、準優勝の碧山に土を付けているのだから、地力は間違いなく備わっているはず。兄弟子の勢の背中はすぐだ。

西前頭13 魁聖 一郎 ブラジル出身 友綱部屋

右ひざのケガで十両に落ちた名古屋場所だったが、取り零しがありながらも10勝を挙げて1場所での返り入幕となった。肝心なケガの状態は依然完全ではなかったようだが、本来なら今場所の番付でさえ”居場所”ではない。これをきっかけに再度番付を戻していきたい。

東前頭14 遠藤 聖大 石川県出身 追手風部屋

名古屋場所は準ご当所ながら、古傷の左足のケガの悪化のために無念の途中休場。現役中は絶対しないと決意していた手術をついに敢行したとのこと。秋場所までにどこまで仕上げられるのか不透明だが、せっかく手術したのだから、しっかり治してから復帰して欲しい。

西前頭14 隠岐の海 歩 島根県出身 八角部屋

先場所は横綱・大関と顔が合わなかったにも関わらず星は挙がらず、5勝10敗の大敗。少し前まで上位キラーとして暴れ回った頃の姿は見られなかった。低迷の原因となった左ひざの状態は定かではないが、1年前はあわや上位陣総なめの活躍だった。早い復活が待たれる。

東前頭15 コ勝龍 誠 奈良県出身 木瀬部屋

1年半ぶりに前頭1ケタ台まで戻った名古屋場所だったが、1場所通して元気のない土俵に終始して4勝止まり。根本的に相手との地力が違ったということだろうか? 十両落ちも懸念された中でどうにか幕内に踏み止まった今場所は正念場。再び良い流れを取り戻したい。

西前頭15 豊山 亮太 新潟県出身 時津風部屋

新入幕の夏場所で跳ね返されて十両に陥落したものの、優勝同点の11勝の星を挙げて1場所での幕内復帰を決めた。返り入幕で真価を問われる場所になるが、今場所は三段目付出同期の朝乃山が新入幕で刺激は十分に受けているはず。入幕で先んじた身として負けられない。

東前頭16 朝乃山 英樹 富山県出身 高砂部屋

先場所は常に十両の先頭を走りながら、最後の最後で大奄美に本割、決定戦と連破されて長蛇を逸した。しかし、新入幕だけはしっかり確保した。嫌が上にも期待が高まる大器であることは今更言うまでもない。名門高砂部屋をこれから引っ張っていってくれるに違いない。


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